ページ番号1024962 更新日 令和5年5月10日
2023年2月6日(月曜日)、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)で、2022「植村直己冒険賞」の記者発表を行いました。
今回は、2022年に日本人が挑んだ73件の冒険行の中から、前人未到の北海道分水嶺積雪期に単独縦断を果たした、 野村良太(のむらりょうた)さんに決定しました。
東京での会見の様子は、豊岡市立府中小学校にも中継され、地元報道関係者からの取材にも応じました。
本賞の授賞式は、2023年6月3日(土曜日)に日高文化体育館で行う予定です。冒険賞の授与の他、野村さんの記念講演も行います。皆さん、ぜひお越しください。
1994年生まれ。普段は登山ガイドを営んでいる。大阪府出身。北海道大学在校中にワンダーフォーゲル部に所属し、登山を始める。同部では主将を務める。卒業後は2019年積雪期の知床半島全山単独縦走(12泊13日)、日高山脈全山単独縦走(16泊17日)をいずれもノンデポ・ノンサポートで達成。2020年には厳冬期表大雪十勝連峰縦走(11泊12日)を達成。令和元年度北大えるむ賞、日本山岳・スポーツクライミング協会山岳奨励賞を受賞。
大学卒業後に出会った『北の分水嶺を歩く』(工藤英一著・山と渓谷社)書から着想を得て、今回の冒険を計画する。2022年2月に宗谷岬を出発し2カ月かけて襟裳岬まで北海道を縦断する計画。あらかじめ4カ所にデポ(山小屋などに保管しておくこと)しておいた食料を回収しながら進む。1日当たり3500キロカロリーの食料をザックに詰め込み、道中ではビバーク(雪山で露営)しながら進む。
北海道分水嶺単独縦断は、北海道最北端の宗谷岬から南端の襟裳岬まで分水嶺を辿るルートで、宗谷丘陵、北見山地、石狩山地、日高山脈を北から南まで一つなぎに踏破する。最大45kgのザックを背負い、ホワイトアウトや風速40m/sの猛吹雪の中を進む。稜線と呼ばれる両端が崖に挟まれた路を進んでいくため、一歩間違えれば命はない。気象条件が厳しく、国内で残されていた最難関の縦走。この縦走コースを何回かに分けて到達した者はいたものの、一つなぎでの挑戦は、単独・パーティー問わず、未だかつて成し得た者はいなかった。
[画像]スタート地点(74.8KB)2番目に若い受賞者で、国内の行動で初めての受賞となりました。これからも探せば新しいフィールドが見つかると思います。それにはやっぱり発想です。今回の縦走も誰かが踏んでいる場所でしたが、通してやっている人がいなかった。そうしたことが他の地域でもあるのではないかと思っています。
このような賞をいただき誠に光栄です。最初に受賞の連絡をいただいたとき、余りにも予想していなさすぎて、驚きのあまり言葉に詰まりました。図々しくも承諾の返事をしましたが、電話を切って冷静になってみると本当に自分でいいのか正直思いました。最終的にふさわしいかどうかは自分が決めることではないと思い、選考委員の判断を信じるということで賞を受けることにしました。
植村さんが遭難されてから10年後に生まれたので、リアルタイムの植村さんは知りません。植村さんは伝説の偉人というイメージが強いです。植村さんはいくつか書籍を残しているので、それを読めば、彼の生き様を追体験できます。そのお陰で、僕の中にも植村スピリットが少なからず生きているのではないかと思っています。
植村さんが登山から極地体験にシフトしたように、北海道での大縦走を終えて、僕自身も今後どんな方向性に進むべきか考えるタイミングを迎えていると思っています。再来月、ヒマラヤの未踏峰の遠征を計画しています。それが僕にとって初めての海外の高所登山になります。その環境で体がどんな反応をするのか、その環境で何を思うのか、不安もありますが、今はとても楽しみな気持ちでいます。
やりたいことに素直に真摯に向き合い続ける。なにより無事に帰ってくること。この2点がこの賞を受賞する者の務めであると理解しています。植村直己冒険賞にふさわしい人間になれるように、また、自分の軸がぶれないように今後も精進していきたいと思います。
登山に出会って自分が心からやりたいことが見つかりました。いろいろなことにチャレンジして自分が本当にやりたいことを見つけることが人生を豊かにすることにつながると思います。何か打ち込めるものを見つける、見つかったような気がすれば、それに全力で突き進む。違うなと思ったら少し変えてみる。そうしたことをたくさん繰り返すことがいいと思います。
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